神田山石棺群
概要:
箱式石棺墓3基と未調査の1基を合わせて、4基が確認されている。第一号箱式石棺の遺骸の脚部を覆う最北端の蓋石の上面に、わが国最初の検出例となる箱式石棺墓に刻まれた盃状穴が認められた。周辺に未発見のものも埋蔵されていると考えられるが、雑木が生い茂っているため、調査することは困難とされた。

種別:石棺群
時代:古墳時代前期(4世紀初頭)
所在地:山口市大内矢田字上矢田・神田山
立地:中国自動車道の南側、山口インターチェンジに約1km南西に位置する面貌山の西側に隣接する標高104mの丘陵
標高:50〜69m(比高20〜30m)
形式:箱式石棺
現状:第1号石棺墓は現地に保存されている。第2号石棺墓は、第1号石棺墓の東側に移築保存されている。第3号石棺墓は埋め戻された。調査後に、地元の管理で遺跡公園として活用しようとしたが、うまくいかずに今は放置されている。
出土遺物:
備考:
第1号箱式石棺墓
直径9m前後の円墳。内部主体は板石を組み合わせた箱式石棺で、石棺の規模は、長さ195cm、幅60~40cmの胴張り状。盃状穴のある蓋石は、6枚からなる蓋石の1枚で、長さ72cm、幅33cm、厚さ7cmの結晶片岩であり、合計21個の盃状穴がほぼ3列に並んで刻まれている。棺材の内面には、赤色顔料が塗られており、棺内に流れ込んだ土砂や頭骨、鉄器に付着している。発見された人骨は北部九州の弥生人に見られる、高顔、高眼窩という特徴により近い形質を保有している。
第2号箱式石棺墓
組合箱式石棺を内部主体とし、復元直径5m前後の小円墳と考えられる。封土のほとんどおよび石棺の蓋石全部・側石の一部がない。
第3号箱式石棺墓
第2号石棺墓と同様、復元直径5m前後の小円墳であったと考えられる。組合箱式石棺であるが、封土の1部を残してほとんどが失われている。