盃状穴(築山館内)
概要:築山館内、現八坂神社敷地内にある盃状の穴が刻まれた岩。

時代:不明
所在地:山口寺上堅小路
立地:築山神社・八坂神社境内
形式:岩に無数の穴が開いている
備考:
<盃状穴>
石材に盃状のくぼみをほどこしたもので、穴の底には丁寧に調整摩痕が留められている。盃状穴は主に北欧からシベリア一帯に発見され、日本には朝鮮半島から伝搬したと思われる。日本では長らく発見されていなかったが、昭和56年に山口盆地内の神田山古墳の蓋石での発見が最初とされていた。しかし、それよりも早く昭和50年代初頭に福岡県三雲遺跡の弥生前期の支柱墓の蓋石で発見されており、さらには柳田國男の著書『女性と民間伝承』(岡書院 1942)により、以前からその存在の確認がされていた。
この穴が開けられた背景は、時代によって細かい意味は異なるが、子孫繁栄・五穀豊穣の祈りが込められていると思われる。そのため、別名『性穴』(女性シンボル)とも呼ばれる。また、スウェーデンでは夜に穴にバターを流し込んで祈れば、その年の農業と家畜の生産が高くなる、と言われている。
また、盃状穴には穴と穴をつなげる線が描かれているものもあり、ハワイ語ではこれをピコ(へそ という意味)と呼ぶ。ちなみにハワイの海端にある盃状穴では、子供が生まれるとそこにへその緒を入れて蓋をし、それが一昼夜たってもそこに残っていると、その子供は「永生」が約束されたという。